「雑観」コラム

(株)MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

2013-01-01から1年間の記事一覧

Vol.39 大切な資質:「誠実さ」 について

社長の並木です。先日、採用活動とは関係なく、お世話になっている方からの依頼で、学生の方々に対して、自分の社会人としての経験やそこから学んだことをお話しする機会を得ました。一方、社内では当社の理念や大切にしている考え方、ルールなどをより深く…

Vol.38 議論について ~真っ当な議論が集合天才を生む~

社長の並木です。今日は「議論」について考えてみたいと思います。 今、世の中は歴史の転換点を迎えているように思います。過去に遡れば、世界大恐慌に対応するためにケインズ経済学が生まれ、グローバル化による危機を抑えるべく戦後のブレトンウッズ体制が…

Vol.37 消費増税考②~建設業の供給力不足とコストプッシュインフレ~

社長の並木です。前回、消費増税に反対の意見を述べた上で、景気への悪影響を減殺するため、金融緩和と共に、その資金を実体経済に引っ張ること。即ち、東北の復旧と将来の防災に向けた国土強靱化投資を軸にして、政府が需要をつくり、民間に渡していく「公…

Vol.36 消費増税考 ~順番の違う意思決定と狂った羅針盤~

社長の並木です。去る10月1日に安倍総理が消費税増税決定の発表を行ないました。以前の投稿でもわかるように、私はデフレ脱却前の消費増税には反対でしたので、大変残念です。 順番を間違えた意思決定 安倍首相は「デフレ脱却前の消費税増税はしない」といっ…

Vol.35 「国家の階層」論と日本における「レントシーキング」

社長の並木です。前回と前々回、「レントシーキング」とその背景にある「コーポラティズム」や「資本主義的民主主義」、更にその導入手法としての「ショックドクトリン」を紹介し、「既得権」や「規制」に伴う複雑な問題について考えてみました。 難しい問題…

Vol.34 規制を考える ~米国の医療制度と日本のタクシー業界~

社長の並木です。前回は、主に財政難や天災などを理由に、資本家や企業が政治に対して影響力を発揮し、民営化などの政策変更を行い、既存の利益を奪い取るコーポラティズムやレントシーキング、ショックドクトリンという現象をご紹介しました。今回は規制や…

Vol.33 資本主義的民主主義 ~コーポラティズム・レントシーキング・ショックドクトリン~

社長の並木です。今回は「資本主義的民主主義」について考えてみたいと思います。以前の投稿「Vol.29 世界経済の政治的トリレンマ ~グローバリズムと国内政治の対立~(http://p.tl/A18X)」の続編的な意味合いを持ちますので、関心のある方はそちらもご覧…

Vol.32 2020年東京オリンピック開催決定と国土強靱化

社長の並木です。先日、2020年のオリンピック及びパラリンピックの東京開催が決まりました。今、このタイミングで7年後のオリンピック開催が決まったことを心から嬉しく思います。クーベルタン氏が提唱したオリンピック精神やスポーツの振興も大切ですが、同…

Vol.31 消費増税のタイミング ~税率アップと税収アップの違い~

社長の並木です。最近、消費増税に関する報道が多数なされています。日本の景気回復に大きな影響を与えることですので、もう一度過去の経験やデータに基づいて、この問題を考えてみたいと思います。 消費増税法「附則18条」の存在 消費税は、民主党政権下に…

Vol.30 不安定な資本主義 ~バブル崩壊の歴史~

社長の並木です。今回は資本主義の不確実性とバブル崩壊の歴史を考えてみたいと思います。消費者や企業家の心理によって、過剰期待からバブルが発生し、不安から投資がしぼみバブルが崩壊するという資本主義の持つ不確実性を指摘したのはケインズでした。 バ…

Vol.29 世界経済の政治的トリレンマ ~グローバリズムと国内政治の対立~

社長の並木です。前回は国際金融のトリレンマに基づいて、経済の現代史を振り返りました。資本主義(特に金融)の不安定性や日本のバブル崩壊と今回の世界金融危機の違いなどについては、次回以降で改めて考えてみることにして、今回はもう一つのトリレンマ…

Vol.28 国際金融のトリレンマ ~ブレトンウッズ体制からグローバリゼーションへ~

社長の並木です。前回まで「国家運営」と「企業経営」の違いについて考えてきました。これから何回かにわたって「経済の現代史」を紐解きながら、いまの日本や世界経済の問題点を考えてみたいと思います。このエントリーはVol.15「世界恐慌の教訓 ~歴史に学…

Vol.27 国家と企業④ ~企業の目的と「国の借金」問題~

こんにちは、並木です。前回の冒頭、「企業の目的は理念の実現である」と書きました。「綺麗事ではそうかもしれないけれど、結局利益じゃないの?」と思われた方もいるかもしれませんので、その点の考え方について整理してみたいと思います。 企業の目的と利…

Vol.26 国家と企業③ ~企業の利益と国益の違い~

社長の並木です。前回は「通貨発行権」について考えました。今回は「国家の役割」を踏まえた上で、国家運営と企業との違いについて観てみたいと思います。 国家の役割とは 企業には理念があります。理念はその会社が何を実現したくて存在しているかを示した…

Vol.25 国家と企業② ~通貨発行権~

社長の並木です。前回、企業の海外生産(対外投資)の増加によって、高度成長期と比較し、日本企業の成長が税収面での国家の繁栄、所得面での国民の利益と乖離するようになってきたことに触れました。今回も前回に続き、国家と企業の違いについて考えてみた…

Vol.24 国家と企業① ~対外投資と国民経済~

社長の並木です。少し前の日経新聞に『円安でも海外生産「拡大」 経営者アンケート』(2013/5/11付日本経済新聞 朝刊)という記事が載っており、タイトルを見て暗い気持ちになりました。 安定した所得増こそ「デフレ脱却」 何度かこのブログでも取り上げまし…

Vol.23 感謝と誇りを考える ~安倍首相の硫黄島訪問~

社長の並木です。4月19日に当社の中期経営計画発表会を開催しました。毎期首行っているイベントで、社員が一堂に会し、第一部で理念や昨年度の中経方針に基づいて一年間を振り返り、第二部では役員やマネージャーが全社、部門、チームのビジョン、方針、計画…

Vol.22 大きな一歩 ~大胆な金融緩和~

社長の並木です。4月4日に黒田新総裁の下で初めての日銀金融政策決定会合が開催され、文字通り大胆な「量的・質的金融緩和」が打ち出されたことで、市況が大変好反応を示しています。 異次元金融緩和の概要 異次元緩和という言葉が新聞紙上などで踊っている…

Vol.21 「自由」と「責任」 ~入社式にて~

社長の並木です。当社にも4月1日に5人の新入社員を迎えることができました。彼らの成長が今後の会社の発展を支えてくれるという期待が膨らむ一方、新たに5人の若者の社会人人生と生活の基盤を担うという責任に身の引き締まる思いです。 今日は入社式で彼…

Vol.20 グローバリズムを考える ~ユーロとドイツ~

社長の並木です。国家単位で考えた場合、グローバリズムが行きわたった国の代表例は、米国・ドイツ・中国・韓国など幾つもあげられるでしょう。片や地域で観ると、ユーロに学ぶのが一番ではないかと思います。何しろ、「ユーロという共通通貨なので為替の変…

Vol.19 TPP交渉参加表明に思うこと

こんにちは。並木です。先週末、遂に安倍総理大臣がTPPへの交渉参加を表明してしまいました。今回は別のテーマを考えていたのですが、これまで「TPP反対」「アベノミクス(特に金融緩和と財政出動の2本の矢)には賛成」という意見を述べてきた経緯もあり、現…

Vol.18 新旧経済ビジネス・モデル~新自由主義とグローバリズムの負の「遺産」~

こんにちは。並木です。これまでも何回か取り上げてきましたが、現在の混迷の病巣となった新自由主義とグローバリズムについて改めて考えてみたいと思います。 ■旧経済ビジネス・モデルと新経済ビジネス・モデル 前回もご紹介した中野剛志氏の近著「日本防衛…

Vol.17 消費と投資

こんにちは、並木です。前々回、ケインズ政策や新自由主義についてお話をさせて頂きましたが、各国で新自由主義的な政策(インフレ対策)が打たれ始めた時のインフレ率はどうだったか調べたのが下の表です。 [データ出典:IMF - World Economic Outlook Data…

Vol.16 TPPについて ~政策と議論:両面から考える~

社長の並木です。日米首脳会談が終わり、TPPに再び注目が集まり始めました。TPPは一般に知られているより広範な分野で我々の生活や職に影響を与えます。また、この報道や議論のあり方には特徴的な幾つかの問題があります。このテーマを取り上げることで、「T…

Vol.15 世界大恐慌の教訓 ~歴史に学ぶ~

社長の並木です。今回は、1929年に発生した世界大恐慌と現在の世界同時不況の類似性についてお話ししてみたいと思います。改めて勉強し直してみたら、余りに似ているので驚きました。以前「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言をご紹介しました…

Vol.14 「内需主導のデフレ脱却で世界に貢献する」

社長の並木です。前回、日本は巷で言われるような輸出立国ではなく内需大国であり、そこに着目した成長を目指すことで世界への貢献にも繋がるとお話ししました。今回はその点についてもう少し詳しく観てみたいと思います。 ■不況下の輸出重視は近隣窮乏化策 …

Vol.13 デフレ脱却へ ~円安の功罪と内需重視への転換~

社長の並木です。メディアは連日のようにアベノミクスによる円安・株高の話題を取り上げていますが、これまでお話ししてきたように量的緩和が公共投資によって実需となり、デフレを脱却し、雇用が増え、給与が上がってようやく日本経済は健康体を取り戻せる…

Vol.12 「日本を取り戻す」

アベノミクスの3本柱社長の並木です。コラムのタイトルは、現安倍政権が衆議院議員選挙で使ったキャッチフレーズです。「日本を取り戻す」。この言葉を使って選挙に大勝したということは、大きな国民意識の転換があったのだと思います。「取り戻す」というこ…