社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.122 「会社とは何か」および「社会人としての成長」の話

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3月に入り、就職活動(採用活動)が本格化しています。学生の方々と話す機会が多いこともあり、また最近、社員との議論を通して学んだこともありますので、久しぶりに、経営観や仕事観についてお話ししてみたいと思います。

 

  • 会社とは何か?

当社の会社説明会では、「会社とは何か」から話すことが多いのですが、最近は、P.F.ドラッカーの「マネジメントの役割」を引用しています。

「第一に、それぞれの組織に特有の社会的機能をまっとうする」。即ち、事業を通してよい商品・サービスを提供し、社会に貢献すること。

「第二に、組織に関わりをもつ人たちが生き生きと生産的に働き、仕事を通じて自己実現できるようにすること」。

「第三に、社会的責任を果たすことである。その一つが、世の中に悪い影響を与えないこと」であり、「もう一つ、組織の強みを用いて、社会の問題の解決に資することである。」

(出典・参照:『ドラッカー入門 万人のための帝王学を求めて』上田惇生著 ダイヤモンド社 P106-108)


手前味噌で恐縮ですが、当社の場合は顧客企業のCS(顧客満足度)を測る「ミステリーショッピングリサーチ」、ES(従業員満足度)を測る「サービスチーム力診断」、およびコンサルティングによって、

  1. サービス業の各店舗でお客様満足を高める改善活動を通して、スタッフの気づき力や働きがいを高めると共に、
  2. サービス向上によって、安定的にお客様満足を高め、
  3. サービス(付加価値)による差別化によって、お店のファンを増やして業績向上、
  4. その業績を待遇改善や教育、チームビルディング、生産性向上への投資に活用することで、一段上のES向上に繋げる

それによって更に、、、という連鎖を生み出すことを目指しています。それが一番目。その活動を通じて定着率・スキル・生産性の向上などによる人手不足の緩和、あるいは「おもてなし文化」の継承につなげていくことが三番目にあたります。(二番目については後述)

社会的に考えれば、差別化要因を価格から付加価値にシフトさせていく取り組みは、価格競争に陥りがちなデフレ下におけるミクロ(企業)単位の抵抗でもあります。

 

  • 余談:経済政策と政府予算

少々脱線しますが、残念なのは、あくまで企業単位の「抵抗」であり、日本全体のデフレ脱却のためには、不足している需要(消費と投資)を、先行き不透明な中であえて大きく増やす存在=政府の財政拡大が不可欠であることです。

政府によるインフラや技術開発・教育投資は将来、日本全体の生産性向上にも大きく寄与するのですから、「生産性革命」「人づくり革命」を標榜する政権であれば、是非実施して頂きたいものです。

 

先般、「平成30年度予算が過去最高の97兆7000億円」と新聞を賑わしましたが、調べてみると、

来年度の一般会計当初予算は97兆7128億円

今年度の一般会計当初予算は97兆4547億円

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2018/seifuan30/01.pdf

伸び率0.26%です。

名目GDP3~4%の成長を目指すのではなかったでしょうか?

政府以上に短期の利益も目指さなければいけない企業でも、こんな都合の良い予算は組まないと思います。

 

  • 危機と機会

話を戻します。

企業が、ドラッカーの「マネジメントの三つの役割」と、成長とを両立させていくために必要なのは、外部から起こる経営環境の変化に耐えて素早く回復を図り、どんな施策にも副作用がありますから、それによって生まれる混沌や複雑化への対応を模索し続けることです。

前者をリーダーシップ、後者をマネジメントと呼んで差し支えないでしょう。


この二つはいずれも環境の変化に対し、それを危機としてだけではなく、機会として捉える活動であり、精神です。これらは一定の役職があればできるというものではありませんし、逆に、一社員の取り組みが大きく事業を変えるということも経験してきました。


「機」とは「兆し」のことです。何かの変化が訪れそうな状況です。

そして「危」は崖の上でひざまずいて、恐る恐る下を見ている形から生まれた漢字だそうです。

一方、「会」とは旧字体の「會」。ふたのある鍋のことで、そこに様々なものを入れる様子から転じて、あつまる・あつめる・あうといった意味を示すようになりました。

何かの兆しがあった時、うずくまって怯えるのではなく、誰かが気づいて行動を始め、皆の知恵を集めることが大切です。ダーウィンの進化論に関連して、「強い者が生き残ったわけではない。賢い者が生き残ったわけでもない。変化に対応した者が生き残ったのだ」という有名な言葉がありますが、企業は環境の変化に適応して、あり方を変えていかないと生き残れません。「企業は環境適応業」といわれる由縁です。

 

  • 社員から学んだこと

この類いの議論をした時、ある社員から「同時に覚悟(を持つ人)が必要ではないか」という意見を貰いました。確かに、いかなるビジョン・戦略も組織編成も実現を保証してくれません。「誰かが気づいて行動を始め」と気軽に書きましたが、場合によっては膨大なタスクを計画し、推進し、見直し、見届けなければならない上、その間、吉と出るか凶と出るかわからない曖昧さ・不安定さに耐える必要もあります。


この「覚悟」は言い換えれば「オーナーシップ」です。

当社における従業員満足度調査のビッグデータ解析で、「チームの遂行力」は「チームの風土」に大きく影響を及ぼすことが分かっていますから、覚悟、ないしオーナーシップを持つ社員の存在は、冒頭の「マネジメントの役割」の二つ目、「社員が生き生きと働く」ことにも影響を及ぼします。

とはいえ、「覚悟」というのは重たい言葉で、持てと言われて持てるものでもありません。

 

  • 「自分事」として考える

学生の方に心構えとしてお話ししているのは、仕事における「当事者意識」=ある投信会社役員の講演で学んだ言葉を使えば「自分事として考える」ことの大切さです。

上司と同行している時でも、「自分だったらどうするか」を考えたり、責任者でなくとも「この部分は自分が前に進めよう」と思って事に当たれば、同じ仕事でも得るものが大きく違ってきます。そうして自分の頭で考える癖が付けば、上司とのちょっとした違いに気づき、その理由を教えて貰えば次の成長の糧になります。


勿論、失敗もありますが、そこからも学べば良い。「権限委譲」というのは「丸投げ」ではなく、成功に導くための示唆と、失敗した場合のフォローを含めたものの筈です。

どうせ過去は取り戻せません。未来に積み上げるしかないのです。

 

  • 失敗から学ぶ

成功体験は自信をもたらし、失敗体験は我々に考え方・行動を変える機会をもたらします。

壁にぶつかり閉塞感に苛まれた時、自分の体験から考えると、状況をできるだけ客観視することが最も重要。それを信頼できる人と共有できれば尚良しです。

実は、私は30歳前後に仕事が原因で鬱病を患いました。振り返ってみると、まず自責が強すぎて病になり、しばらくすると他責が拡がり、そして考えるのが面倒になりました。客観視できず、自責と他責をバランス良く整理することができなかったのです。


少し多めに自分事として考える。気の進まないことであれば修行の機会(これは当社の専務に教えて貰った考え方です)として捉えて行動し、失敗したときに自分にないものを嘆くのではなく、成否に関わらず自分にないものは学び、あるものに感謝する。

 

綺麗事のように聞こえるかも知れませんが、未だに悩むことの多い身として、心がけていることです。