社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.132 国会と社会 ~2冊の本と1つの動画を参考に~

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今回は最近読んだ本の紹介から始めたいと思います。

一冊目はベストセラーになっている百田尚樹氏の『日本国紀』(幻冬舎)。

個々の時代を捉えた書籍は数多ありますが、日本通史となると意外と少ないものです。帯に『私たちは何者なのか-。』とあるように、我々の先祖の辿った道程を学び直す機会になりました。

とりわけお薦めなのが、第十一章「大東亜戦争」以降。

私の通った学校では歴史の授業で近代、特に戦争以降については三学期末に申し訳程度触れるだけでしたが、「日本は悪かった」という授業を受けた方は特に、事実を知っておく価値があると思います。

というのも、GHQ(占領軍)の行った「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」「教職追放」「公職追放」などの占領政策によって、日本の政界・教育界・メディア・言論界・財界が共産主義者無政府主義者に侵食され(米政府の公開したヴェノナ文書でも明らかになっているように、ルーズヴェルト政権以降、米国政府やGHQ共産主義者に侵食されていたためです)、その影響が今も根強いことがわかります。

 

第十三章「日本の復興」の冒頭、百田氏は、

『「大東亜戦争」が終わった時点で、日本は世界最貧国の一つだったが、昭和20年代半ばから驚異的な復興を遂げた。<中略>

奇跡的な復興を支えたのは、ひとえに国民の勤勉さであった。<中略>

私はこの事実に感動する。私たちの祖父や父は何と偉大であったのか。

だが、敗れた日本が取り戻せなかったものがある。それは「愛国心」と「誇り」だ。これらは戦後、GHQに木端微塵にされ、占領軍が去った後は、彼らの洗脳を受け傀儡となったマスメディアや学者たちによって踏みつぶされ続けた。国旗と国歌を堂々と否定する文化人が持て囃される国は、世界広しといえど日本だけであろう。』(同書P444)

と書いています。

 

70余年踏みつけられた結果、GHQの検閲が解けて久しいのにタブーが多く、特に政治家がマスメディアからのバッシングを恐れて本音・本質論を語れないというのは不幸です。


平和安全法制審議の際、北朝鮮の核やミサイル、中国の尖閣諸島周辺への侵略行為について(最終盤まで)与野党共に持ち出さない姿勢に憤りを感じました。

また今回、残念ながら成立してしまった入管法改正についても、これはタブーとまで言えないと思いますが、「移民政策はとらない」としながらも「移民の定義は多義的で・・・」と言い淀んだり、『受け入れる人数には明確に上限を設けます。そして、期間を限定します。』『健康保険などの適用については、不正があってはなりません。今後、厳格な対策を講じます。』(『 』部は12月10日安倍総理会見より)と言いながら、具体策は事後に「省令」で対応という具合。

平成30年12月10日 安倍内閣総理大臣記者会見 | 平成30年 | 総理の演説・記者会見など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ

※省令とは、各省の大臣が所管の行政の運用について、法律(今回の場合は改正入管法)の委任に基づいて発する命令です。この場合、国会の審議を経る必要はありません。

 

  • 佐藤健志著:平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路

そこで二冊目、佐藤健志氏の『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』(KKベストセラーズ)の紹介です。

この本も読み応えがあります。左翼の『武力に訴える能力を、自国にだけは持たせないことによって、戦争を回避しようとする平和主義』(同書P39)、自民党安倍総理に代表される保守(特に親米保守)双方の宿痾(しゅくあ)を軽妙かつ論理的に語っています。

 

その中に、こんなくだりがあります。

『現実逃避を続けていると、現実に立ち向かう気力がなくなり、ひいては現実をまともに認識できなくなる』(同書P287)。

現実逃避の二本柱として「口先と言い訳」を上げています。

 

さて、上記安倍総理による「移民政策はとらないが、移民の定義はいろいろ・・・」も、

野党の「外国人労働者は必要だが、安倍首相のやり方には反対」も、

前回書いたように、デフレ脱却を目指した政権が、賃金を抑制する入管法改正や消費を減らす消費増税を進めることも、

もっと言えばインフレターゲットも実質賃金の上昇も実現していないのに、「金融緩和の成果でもありますが、人口構造上の生産年齢人口減少の影響も大きい」雇用の拡大を「さらに酷かった民主党政権の経済政策と比較して」誇るのも、

さらに言えば、橋本政権ないし小泉政権以降、改革を繰り返しながら閉塞感は増すばかりであるにも関わらず、その検証もせずに、また新たな改革を持ち出すのも、

「口先と言い訳」に括られそうです。

 

  • 口先の末路

『日本国紀』では、ミッドウェー海戦『開戦前のシミュレーションで、日本の空母に爆弾が命中して沈没するという事態になった時、参謀の一人が「今のはやり直し」ということで、被害ゼロのシミュレーションにして図上演習を続けて』いた(日本国紀P393)。即ち、都合の悪いことを正に「口先」でなかったことにしていた結果、致命的な敗北を招いたことが語られています。

その参謀一人の問題ではありません。当時の海軍全体がそういう空気に動かされていた可能性が高い。

 

こうした歴史を紐解くと、我々も今の政治を責めるだけでは足りないことがわかります。

政治家の「口先と言い訳」は批判すべきですが、同時に、少しずつでもタブーや空気を変えることで政治家に本質的な議論を求め、悪しき判断(政策)であれば成立後も是正の声を挙げる必要があります。

 

一例として青山繁晴参議院議員の活動をご紹介します。

こちらの動画で、「入管法改正」のみならず「水道法改正」「漁業法改正」「妊婦加算」について法案と現状、双方の問題点を指摘、

【DHC】12/10(月) 青山繁晴×居島一平【虎ノ門ニュース】 - YouTube

敬意を表したいのは、悪影響の緩和に向けて行動していることです。

 

例えば、入管法の改正では、自民党内の反対によって「3年後に見直し」となった後も、議員修正に動くことで見直し期間を2年に短縮、永住権取得対象となる特定技能2号は当面(少なくとも1年間)は動かさないという運用上の合意を得たとのこと。

中身が固まっていないのを梃子に変えた格好です。

※特定技能1号、2号、在留資格の概要は例えばこちらをご覧下さい。 

改正入管法が成立へ 14業種、外国人の就労拡大 :日本経済新聞

 

前回書いたように、事実上労働基準法が機能していない技能実習制度は問題を内在しています。加えて留学生アルバイトも含めると、日本には既に外国人労働者が128万人います。

その中で問題のある働き方をしている方々を徐々に1号に入れ替えていく。その上で2年後の見直しが機能するのであれば、確かに賃金抑制や不法移民の増加などの悪影響は抑えられるでしょう。

 

勿論、国会議員だからできることではあります。

青山氏に限らず、良心派の活動で多少は押し戻せたのかも知れませんが、安心はできません。省令対応ということは、気がついたらルールが変更になっていることもあり得るからです。

まずは安倍総理が施行前に整えると言う体制をチェックしないといけませんし、その後も意識し続けないといけません。

国民は仕事や生活がありますので余り時間は割けないのですが、施行後に、我々が仕事や生活の場で関わりが増えることを思えば、政治家や官僚任せにしてはいけない、、、と青山氏の言動から再認識した次第です。

 

さて、『平和主義は貧困への道』にはこんなことも書かれています。

『「結果が出せない」とは、今の政権が何の成果や実績も挙げていないということではありません。多少は挙げているに決まっています。<中略>

問題は、それらの成果や実績が、「経世済民を達成できている」と評するに足りるものかどうか。』(平和主義は貧困への道 P296)

残念ながら、「政治家に任せておけば国民は安泰」と思っている人は少数でしょう。

であるからこそ、一人ひとりは微力でも、自分の頭で考える機会を増やし、行動することが経世済民に繋がって行くと思うのです。