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社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.4 「日本経済への3つの処方箋」~賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ~

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社長の並木です。前回、日本経済を覆っている最大の問題は「デフレ」であるとお話ししました。今回は現在の環境を踏まえ、私が特に重要だと考えている施策を3つに絞ってお伝えしたいと思います。いつもより少し長くなりますが、興味のある方は頑張って読んでみてください。
 
施策1 消費税増税の延期
先日「税と社会保障の一体改革」で消費税増税が決まりましたが、その附則18条に景気条項というものがあり、名目及び実質GDPが成長率目標に達していない場合、施行の停止を含めた措置を講じ得るという旨の条文が付いていることは案外知られていません。振り返ってみると、日本がデフレに陥ったのは正に1997年に消費税が3%から5%に増税された時からです。バブル崩壊以降何とか凌いでいたのですが、阪神淡路大震災の復興需要で少し景気が上向いたその年、緊縮財政や消費税増税が行われ、以来15年にわたる長期デフレに突入した訳です。

考えてみれば当たり前で、バブルが崩壊すると需要が冷え込み、普通に供給力のある国ではデフレ圧力がかかります。その中で消費税増税というデフレ促進策(需要削減策)を打ってしまったのです。それで税収が増え政府の財政赤字が減ればまだ救われますが、消費税の増収分を不景気による法人税や所得税等の減収分が相殺し、かえって税収が減ってしまいました。消費税は全産業・全国民に関わる問題ですので、まずはデフレを脱却し、好景気になってからの増税にして欲しいのです。
 
施策2 極端な円高の是正
円高にも円安にも良い面・悪い面があると思います。円高になれば輸入品が安くなったり、海外旅行に安価で行けたりします。ただ、2007年からの5年間で円は「対ドル・対ユーロでおよそ1.5倍」「対ウォンに至っては1.8倍」となりました。これはいくら何でも極端でしょう。以前、日本の内需は大きく、行き過ぎたグローバル化には問題があると書きましたが、国内はデフレ、国際競争では過度の円高では特に製造業の業績が悪化し、国内での雇用を減らさざるを得なくなります。経営者の矜持だけでは何ともならない過度のスパルタ環境にある訳です。

その最大の要因は、マネタリーベース(通貨供給量)です。リーマンショック以降「アメリカは3倍以上」「ユーロも2倍以上」に通貨供給を増やした上、直近で双方とも更に無制限の金融緩和を決めています。これに対して日本は1.5倍にもしていないので相対的に円の価値は高まります。過剰な円高にならないよう、直接的には製造業(の雇用)を救うために同程度の金融緩和を行う必要があります。
 
施策3 耐震化・津波対策の促進
古来、日本は地震・台風などの自然災害の多い国です。関東大震災後しばらく大規模地震から遠ざかっていたのですが、阪神淡路・東日本大震災にみられるように、地震の活動期に入ってしまったという説が有力です。首都直下型地震南海トラフ地震などが起こり得ることはご存じの方も多いと思います。そんな災害が起きないことを願うばかりですが、「もしも」に備えて耐震や津波対策を施しておかないと致命傷になりかねません。自分や家族、隣人の命を万一の時に守るための備えです。

これ自体は経済政策とは言えませんが、②で指摘した金融緩和で刷ったお金を東北の復興に加え、全国的な大規模災害対策に充てることは、将来世代も含めた国民の安全のみならず、経済的にも公共「投資」という需要を生み、雇用の拡大と地方の活性化に繋がります。
 

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」といいます。世界恐慌時、日本では高橋是清の政策によって、アメリカではニューディール政策によって恐慌を脱した歴史があります。最近では上記のような1997年の痛い経験もしています。また被災は経済・雇用以前の安全に関わる問題です。勿論、この3つ以外にも重要なテーマが多数存在します。関心のある方は是非ご自身でも考えてみてください。