社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.133 理念経営と「靱」

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(遅ればせながら)あけましておめでとうございます。

皆さまのご多幸を祈念申し上げます。

 

新年第一回目は政治・経済から離れ、会社のことについてお話ししたいと思います。

珍しく自社紹介のような内容になりますが、ご笑覧下さい。

 

当社の創業は2008年。創業といっても、前身の会社でミステリーショッピングリサーチを行っていた部門の事業売却で生まれた会社ですので、当時から約50名の社員がいました。

 

創業直前から今に至るまで、社員は勿論、時に株主や外部の方にもお話ししているのがドラッカー

「マネジメントにとって利益とは、明日更に優れた事業を行なっていくための条件である。同時に仕事ぶりを測るための尺度である。目的ではない。条件の方が目的よりもきつい。生きる目的は達せられなくとも生き続けられるが、生きる条件を達せられなければ潰れるしかない」(出典:『ドラッカー入門―万人のための帝王学を求めて』 上田惇生著 ダイヤモンド社 他)

という言葉です。

 

存続し、更に優れた事業を行うために利益は必要ですが、それは目的ではない。

であれば、会社の目的は「理念」に記されるべきだと考え、上記のような設立経緯でしたので、メンバーそれぞれに事業への思い入れを持っている筈、、、と全員で議論し、経営理念をまとめました。

 

以来、「理念を大切にする経営が正しい経営」だと考えています。

 

  • MSCスタンダード

とはいえ、「理念浸透のためにああしろ、こうしろ」というのは、私というか当社のスタイルではありません。

誤解がないように補足すれば、マネジメントスタイルは当人の特性以上に、メンバー・組織風土・環境によって決めるべきものです。

危機的な状況やメンバーが疲弊している時にはトップダウン側に寄った方が効率的・効果的なこともありますが、メンバーが提案や創意工夫をし、一方で、ある程度リスクの芽を未然に摘み取れているのであれば、衆知を集めた方が、知恵の総量・能力向上の総量の両面から、可能性が拡がります。

 

ありがたいことに当社は創業以来、「概ね」ですが後者の状況にあるので、理念の内容を踏まえて「経営指針」と「行動規範」をつくってからは、理念浸透についても極力、ボトムアップを重視しています。

2014年に、経営理念や経営観・人生観・仕事観などの大切にしたい考え方をまとめた「MSCスタンダード」という冊子を作成した際も、執筆は私をはじめ役員中心となりましたが、目次案とテーマ毎の書き手は社員からの提案でした。

加えて、6~7年前から、毎年いくつかのテーマを決め、立候補制で会社の改善を考える委員会を運営しているのですが、その中に毎年「スタンダード委員会」が含まれ、全社や部門勉強会の企画・支援などを行ってくれています。

 

  • 最近の嬉しい動き:スタンダードリレー

現スタンダード委員会が発案し、11月からスタートしたのが、毎日一人の社員が輪番で「経営理念やMSCスタンダード」あるいは仕事観や人生観に関する話題を投稿するという「スタンダードリレー」。

 

この手の活動はどこかで途切れて尻すぼみになるという心配はあるものの、幸い継続しているだけでなく、閲覧率も高く、多くの社員が関心を持っています。

いつも本ブログの公開前に分かりにくくないか一読して貰っている人事部マネージャーに了解を貰いましたので、一例として紹介します。

 

MSCスタンダードに「最も大切な資質:誠実さ」という項があります。

随分前に本ブログでも紹介していますので、関心のある方はこちらをご覧下さい。

Vol.39 大切な資質:「誠実さ」 について - 社長の「雑観」コラム

それを踏まえての彼の投稿。
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誠実さ

 

私は採用という仕事に向き合う際に考えていることを書きたいと思います。

 

人生とは、平等に与えられた時間をどう使うかということだと考えると、

就活は、人生そのものである時間を、5年毎に1万時間投下する決断を下すことに等しいと言えます。

(並木註:1万時間÷5年=年2千時間÷12ヶ月≒月167時間≒所定労働時間)

さらに環境は人格に影響を与えるので、一生に影響を与えうる選択になります。

 

しかし、学生は就業経験がない分情報格差が大きく、 わずかな接触で人や風土を判断します。

 

採用側は、確信が持てるレベルで熟考した上で、お誘いしなければなりません。

しかし、こちらがいかに責任感を持とうと、人生の責任は本人にしか取れません。

そんな中、最後は自らの意志で決めてもらいます。

 

それに対して、「誠実さ」なくして相手の目の前に立つことすらできない。

そのように考えています。

<中略>

誠実に対応したいという気持ちがあるだけでは、誠実さは感じてもらえません。

重要なのは「言動をする」ところだと思います。

 

・約束する、約束を守る、変更があれば説明する、できなければ謝る。

・誰もに人として対等に、敬意をもって接する。

私個人として特に意識しているのはこの2つで、

体現できずに良心の呵責に苦しむ時もありますが、

それが遂行力を高めてくれることもあります。

 

誠実さというものについて、仕事に向き合うという枠を超え、

生涯を通してその遂行度を高める努力をしていきたいと考えています。
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こうして文章にする過程で自分の考えが深まる上、共に働くメンバーの想いを理解することができます。

さらに「経営理念」「行動規範」という、ともすれば床の間にでも飾られて日常では意識されなくなりがちなものに、日々動きと深みを与えてくれる意義は大きい。私も、日々の投稿を読み、気づきを得るのが楽しみです。

加えて、社員の成長を考えると、私の文章より、より身近な先輩達の日常を踏まえた話の方が、深く共感できたり、学びに繋がることも多いと思います。

 

  • 「靱」を求めて

今年の元旦に「強靱さ」ということについて改めて考えていました。

 

「靱」という漢字は、「強い」と「柔らかい」「しなやか」という意味を併せ持ちます。

「大木は強風に立ち向かい、根ごと倒れてしまうこともあるけれど、柳に風折れなし」というように、強いだけでは謙虚さ・柔らかさを失えば、傲慢に陥り、環境の変化に適応できないことも起こり得ます。

こうした日々の積み重ねによって、会社や社員(私もです)が、強く、柔らかく、しなやかで、謙虚に育つことを願っています。