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社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.104 今、考えるべき「財政問題」と「拉致問題」

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  • 歪んだ世界

今年の1月。英米を中心に保護主義的な政策、というか行き過ぎたグローバリゼーションを是正する動きが生まれる中、ダボス会議の基調講演で中国の習近平国家主席が、反グローバリズム保護主義を批判しました。

グローバリズムを先導してきた米英が保護主義に傾斜、大国の中で最も保護主義的な中国が保護主義を批判するのですから、世界は「何でもあり」の様相を深めています。

 

中国はグローバリズム下で保護主義をとることによって、安い労働力を武器に経済成長と軍備増強を実現し、覇権国への挑戦国として台頭してきました。第一次世界大戦前の覇権国イギリスに対するドイツと似ています。

要はこれまで美味しいとこ取りを許されてきたのですから、グローバリズムの継続を望むのはわかりますが、保護主義批判はブラックジョークと取られても仕方ありません。

 

「何でもあり」の様相が深まる中、日本でもジョークですまないこと、捉え方を変えれば重大な機会が生まれています。今回はその中で、二つのことについて考えてみたいと思います。

 

2月21日、嘉悦大学教授の高橋洋一氏が衆議院予算委員会:中央公聴会にて公述人意見陳述をされました。

🙂 高橋洋一 公述人意見陳述【国会中継 衆議院 予算委員会 中央公聴会】平成29年2月21日午前 - YouTube

 

以下の投稿でも書いたように、高橋氏は以前から日本の財政問題「いわゆる“国の借金1,000兆円”」はミスリードだと主張していらっしゃいますが、

Vol.101 日本経済の現在と未来 - 社長の「雑観」コラム

さらに再建が進んだようですので、下記コラムも参照しながら、改めてご紹介しましょう。

 

財政問題は、政府に子会社である中央銀行を加えた「統合政府」のバランスシートで考える必要があります。その為には、

財務省のウェブサイトにある連結政府のBSに日銀のBSを合算すればよい。そうすると、資産は1300兆円、負債は国債が1350兆円で銀行券400兆円となる。

 ここで、銀行券は利子負担なし、償還負担なしなので、実質的に債務ではない。つまり、これらの数字が意味しているのは、統合政府BSでのネット債務はほぼゼロという状況だ。』

【日本の解き方】財政再建はすでに達成済み、統合政府の純債務はほぼゼロ 予算委公聴会で主張したこと (2/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK

 

加えて意見陳述では、負債の利払いは、資産の税外収入で賄える規模であり、

「売れない資産が多い」とよく言われるが、大半は金融資産。特に天下り先への出資金や貸付金が大きい。

フロー=各年次のプライマリーバランスを問題にする人もいるが、税収は前年の名目GDP成長率とリンクするため、そもそも「財政問題はない」という前提でデフレ脱却(名目GDP成長)に向けて、財政政策と金融政策を一体発動すべきだとも主張していらっしゃいます。

 

そして、

『前FRB議長のベン・バーナンキ氏がかつて、「量的緩和すれば、デフレから脱却できるだろう。そうでなくても、財政再建はできる」と言っていたが、そのとおりになっている。』

とも論じています。

金融緩和だけでは、お金が実体経済のモノやサービスの売買に向かう(=需要が増える)とは限らないので、デフレ脱却には力不足でしたが、財政再建には貢献してくれたようです。

 

となれば必要なのは財政拡大なのですが、安倍首相は24日の衆院財務金融委員会で、

『2度にわたって延期した消費税率10%への引き上げに関し「国の信認を確保するためにも必要なものであり、2019年10月には引き上げを実施する考えだ」と述べ、現行法のスケジュール通り増税する姿勢を示した。』

首相、19年消費増税方針変えず 10月に税率10%へ:経済:中日新聞(CHUNICHI Web)

のだそうです。

 

消費増税をしてもV字回復が可能と言われていた消費が、実際にはL字型の長期低迷を起こしているにも関わらず、、、です。

 

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出典:内閣府「国民経済計算(GDP統計)」2016年10-12月期一次速報「四半期GDP実額:実質GDP」より抜粋、加工

 ※消費増税はインフレ率にも影響を与えるため、実質値でグラフ化しました。

 

これによって、2013年度(2013年4月~2014年3月)比で、

翌2014年度は民間消費が32兆円減、翌々2015年度でも26兆円の減少が起こっています。

消費増税さえなければ、今頃はデフレを脱していた可能性が高いのです。

二本目の矢(財政拡大)は何処へいったのでしょうか。

 

また、日本の国債は94%(国庫短期証券を含めても約9割)が国内で保有されています。

銀行や生損保、年金などを通して国民が政府に貸している訳です。

http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

であるにも関わらず、既に解決済みの財政問題”を理由に、増税を目指す。つまり債権者である国民の税負担を増やして、存在しない財政問題を解決するとは、どういう理屈でしょう。

 

需要不足のデフレ下では、政府が財政出動によって需要を作り出さない限り景気回復が見込めないにも関わらず、長期にわたって名目あるいは実質賃金が減少し、節約せざるを得なかった国民は、今や政府や地方自治体にも緊縮を求めるようになっています。

 

しかし、財政問題が解決した今こそ転換のチャンスです。

 

この事実を、「国の借金1,000兆円」と同じくらい国民に知らしめることができれば、デフレ脱却のための経済政策、すなわち政府が投資をすることで(それがインフラでも、教育でも、技術開発でも)、今の需要と将来の生産性向上が実現し、人手不足問題の解決やインフレ率以上の所得上昇、つまり経済成長につながることを直視できるのではないでしょうか。

 

もう一つ、今のタイミングで日本国民が真剣に考えなければならないのが北朝鮮拉致問題です。

 

金正男氏暗殺については日々報道されています。最悪の毒性を持つVXガスが使用されたらしいのは衝撃ですが、殺害方法よりも重要なのは、今後起こりうる可能性に対し、日本がそれにどのように準備・対処するかです。

 

参議院議員青山繁晴氏は、「真相深入り!虎ノ門ニュース」やニッポン放送のラジオ番組「ザ・ボイス そこまで言うか」などで、アメリカが(以前、米韓合同演習でも行った)いわゆる斬首作戦(何らかの方法で金正恩氏を除去するための作戦)を改めて準備している可能性について語っています。

【宮崎哲弥】ゲスト:青山繁晴 ザ・ボイス そこまで言うか! 2017年2月23日 - YouTube

(上記の発言は開始後17分40秒頃)

 

関連して、ジャーナリスト:山口敬之氏のリポートもご紹介しておきます。

【ドキュメント永田町】米軍「北ピンポイント空爆」全容判明 トランプ氏、正恩氏の反撃を断固阻止 (1/3ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK

 

あくまで準備・計画であり、実行するか否かは大統領の判断によるのですが、中東や南シナ海がどうなろうとも地上軍を送らなかったオバマ氏ではありません。アメリカファーストを謳うトランプ大統領です。他国のために決断することはなくても、自国への直接的な脅威となれば話は別です。

しかも北朝鮮は昨年、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射に成功していますので、米朝間の物理的距離の意味合いが薄れています。

 

また上記動画の12分40秒頃、対談相手の評論家:宮崎哲弥氏は、金正男氏暗殺の前の段階で既に中国軍における脅威対象国は、1位:アメリカ、2位:北朝鮮、3位:日本になっていたと指摘しています。中国が西側との緩衝地帯を放棄するとは考えにくいですが、「何でもあり」の世界では中朝関係もどちらに動くかわかりません。

 

以上は危機感を煽りたいためにご紹介したのではなく、動画の45分20秒頃にある青山氏からの、日本の未来に通じる最も重要な問いかけ、

「(今までで最高レベルの危機が訪れている北朝鮮で有事が起こり)混乱状態になった北朝鮮において、同胞(はらから)の救出を米軍にお願いするんですか?

国全体の自殺行為ですよ。だから必ずその時に自衛隊が行かなきゃいけない」

について考えて欲しいからです。

 

アメリカファーストである以上、米軍が拉致被害者を救出してくれるとは限りません。

一方、不法に拉致された自国民の生命を護らない国は国家と呼べるのでしょうか。以前、丸山和也参議院議員が発言されたように「アメリカの51番目の州」にでもなろうと言うのでしょうか。

「アメリカの51番目の州」に関しては、評論家:佐藤健志氏の近著『右の売国、左の亡国 2020年、日本は世界の中心で消滅する』で詳しく論じられていますので、別の機会にご紹介したいと思います)

 

国会では、具体的な脅威に対する対策、正しいデータ・情報に基づく政策、国家のあり方の本質に関する議論を増やして欲しい。そう変わって頂くためには、まず国民が自分事として考え、発信する習慣を身につけなければならないと思うのです。