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社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.40 会社って何? ~企業の役割と目的~

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 あけましておめでとうございます。社長の並木です。

 2014年が皆さまにとって幸多き一年となることをお祈り致します。

 

 新年最初の投稿では、「会社とは何なのか」という根本的な経営思想について、私の考えをお話ししたいと思います。就職活動を控えた学生の方々やビジネスマンの方の何らかの気づきにつながれば幸いです。

 

  • 企業の役割①「需要の創造」

 まず、企業の主な役割について考えてみたいと思います。

 企業の役割の第一は「需要の創造」です。新たな商品・サービスを提供するために投資をし、その事業(商品・サービス)を育てることで需要を喚起し、需要を満たす生産を行なうことで顧客の満足を生み出して、会社も成長する。それによって社員・株主・関係先といった様々なステークホルダーを潤すことができます。設備投資にせよ、人材投資にせよ、確実にすぐリターンが見込めるものではありません。こうした将来を見通せない中、リスクを伴う投資をするマインドをケインズは「アニマルスピリッツ(血気)」と呼びました。

 投資というと縁遠く、経営陣の仕事と考えるかもしれませんが、そんなことはありません。今は超大手企業でも先行きが見通せない時代です。より多くの社員が、今「接している人たち」「提供している商品」に対して自分が(も)会社の代表なのだという気持ちを持ち、どういう変化が起こっているかを発信し、どのように対応すべきかを考え、マネジメント層を巻き込んでいくことができる会社ほど、環境の変化に対応する俊敏さと強靱さ(強さとしなやかさ)を持つことが出来ます。

 

  • 企業の役割②「雇用の創造」

 そして第二は「雇用の創造と(安定した雇用を続けることができないと意味がありませんので)継続」です。需要創造を続ける企業活動を担う社員・スタッフを雇用し、その対価として彼らに長期的に所得を支払うことで生活の安定を守り、その安心感を背景に社員は事業を推進する(生産者としての社員)。その一方で所得をもとに社員(の家族)も消費をすることで需要を増やす(消費者としての社員)。この二つが絡み合いながら、様々な企業がその連鎖を行って成長を続けるのが資本主義経済です。

 最近、企業の解雇規制を緩めれば、「気軽に社員を雇用できるようになるから雇用が増える」とか「企業競争力が上がる」などといった言説がありますが、前者は完全な誤りであり、後者も国民経済的に、或いは長期的には間違いだと思います。解雇が簡単に行える米国では、製造業の空洞化が進み、株価が史上最高値をつける中でも相変わらず高失業率に悩んでいます。また欧州債務危機後、雇用規制を緩めたスペインでは失業率が25%を超え、若年失業率は60%とも言われています。こうなると明らかに恐慌です。企業競争力を考えてみても、短期的には人件費というコストを削減できますからプラスに働くのでしょうが、実際の企業活動を行なう社員に、会社へのロイヤルティーや仕事への誇りがなければ「改善」も「イノベーション」も起こりません。経営陣が頭に描いた戦略が当たり続けるほど、企業経営者の能力と理性が優れているなどということはないのです。「全員でよい会社をつくり続ける」そういう意識が経営陣にも社員にも必要です。

 

  • 会社の目的と利益

 では会社の目的とは何でしょうか?最近では強欲資本主義という言葉も生まれ、「利益や株式価値を上げること」が使命のような風潮もありますが、本当でしょうか。

 私はドラッカーの次の箴言(しんげん)を読んで、大変腑に落ちました。

「マネジメントにとって利益とは、明日更に優れた事業を行っていくための条件である。同時に仕事ぶりを測るための尺度である。目的ではない。条件の方が目的よりもきつい。生きる目的は達せられなくとも生き続けられるが、生きる条件を達せられなければ潰れるしかない」。(出典:『ドラッカー入門―万人のための帝王学を求めて』 上田惇生著 ダイヤモンド社 他)

 利益が上げられなければ、社員の昇給や新たな社員を雇用する原資を手当てすることができません。そうなると、需要を創り出すことで雇用を生み出すという企業の役割を全うできません。勿論、短期的には利益が上がっていなくても、キャッシュフローが続く限りは会社が潰れることはありませんが、利益が出なければ借り入れを行なう苦労が増す上、金利が上がり、返済に窮することになってしまいます。そういう意味で利益は企業の存続を保証する「条件」です。

 しかし、生き残るためだけに手段を選ばず「稼ぐ」というのでは、顧客とのWin-Loseの関係を生み出し、長期的には立ち行かなくなります。また、そこで働く人たちは(拝金主義者を除いて)面白くもないし、誇りも持てないでしょう。

 そこで企業の「目的」である「理念」が大切になります。

 当社では分社による会社設立が決まった際に、社員全員で理念を考えました。また、「理念の実現を目指すことが正しい経営」だと語っています。理念の実現を目指すために集い、苦労もありますが日々活動している。それが組織と単なる人の集まりである集団との違いだと思います。

 

 理念には様々なものがあって良いと思いますが、経済活動を行なう以上、それは経済の語源である経世済民。即ち「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」ことの一端を担うものでなければなりません。

 会社の成長と社員の成長が同期し、社員も社会も豊かになる。その豊かさによって拡大した需要で企業(群)も成長する。青臭く感じる人もいるかも知れませんが、これが普通の「持続可能な資本主義」の姿だと思います。

 そのために「理念」と「役割」と「利益」。そのどれが必要かという二元論や三択ではなく、全ての共存を目指さなければいけないのです。