「雑観」コラム

(株)MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.39 大切な資質:「誠実さ」 について

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 社長の並木です。先日、採用活動とは関係なく、お世話になっている方からの依頼で、学生の方々に対して、自分の社会人としての経験やそこから学んだことをお話しする機会を得ました。一方、社内では当社の理念や大切にしている考え方、ルールなどをより深く理解・共有するための「MSCスタンダード」を編纂する取り組みが社員発の提案で進んでいます。こういう機会は改めて「大切なことを見つめ直す」よい機会になります。

 丁度、就職活動もスタートするタイミングですので、しばらく「仕事や経営に臨む際の考え方」や「大切にすべき人間性」などについて、私なりの考えを書いた投稿も増やしていきたいと思います。

 

  • リーダーシップの最も重要な要素:誠実さ

 今回はその第一弾として、当社の行動規範「Value」に載せている一節、『最も大切な資質:誠実さ』について考えてみたいと思います。

 

 この言葉は書籍『あなたがリーダーに生まれ変わるとき』を読み返し、改めて考え、行動規範に加えたものです。その本の一節をご紹介します。

 『ドワイト・アイゼンハウワー(並木注:第34代アメリカ合衆国大統領)のことば---「リーダーになるためには、従う者の存在が必要だ。そのためには、彼らの信頼を手に入れなければならない。だからこそ、リーダーにとっての至高の資質が誠実さであることは、論を待たない。誠実さがなければ、現実に成功する可能性は全くない、それが保線作業の現場であっても、フットボールの競技場であっても、軍隊でも、オフィスでも同じことだ。仲間がリーダーのいんちきさ加減に気がついたとき、また、彼らがリーダーに文字通り誠実さが欠けていると判断したとき、リーダーは転落する。リーダーの言葉と行動は一致していなければならない。“いの一番”に必要なことはしたがって、誠実さと志の高い目標だ』(出典:『あなたがリーダーに生まれ変わるとき』 ジョン・C・マクスウェル著 ダイヤモンド社

 ここでは誠実さとは「言行一致」であり、誠実さによって信頼が育まれると書かれています。

 「誠実さ」は、約束を破らず、嘘がなく、裏切らないといったように、自分の言動に「一貫性」を持つことです。同時に、「相手に厳しく、自分に甘い」では一貫性は保てませんので、「こんなことくらい」と自分のことを棚に上げず、些細なことでも疎かにせず、私利私欲に走らず、相手のことを大事に考える生き方を志すこと。即ち、人間性を高めることに繋がります。

 想像してみて下さい。リーダーに限らず、時と場合、あるいは相手によってコロコロいうことが変わる人間を信頼できるでしょうか。そしてあらゆる企業活動や人間関係は複数の人との関わりで為すことですので、信頼関係を築けない人には成功も訪れませんし、幸せや精神的な豊かさを生み出すことができません。

 

  • 惕若(てきじょ)=内省の大切さ

 そのために必要なことは、忙しく仕事に邁進している中でも、一日の終わり、例えば帰り道とか就寝前に一日の自分の言動を省み、一貫性や言行一致が保てていたかどうか、自分目線だけでとってしまった行動はないかを惕若(てきじょ)する姿勢が大切です。惕若というのは難しい言葉ですが、易経という中国の古典に書かれている言葉で(これについても近々少し詳しくご紹介します)、「惕=恐れる」「若=如く」を示し、恐れるが如く省みるという意味を持ちます。内省をする様子をよく表した言葉だと思います。忙しいというのは「心(りっしんべん)を亡くす」と書きます。業務に追われ、時に心を亡くした言動をとってしまわなかったか、内省することで今後の糧とするのです。

 

  • 一貫性を担保する「説明責任」

 では、環境が変わったために戦略や方針、ルールを変えるべき時にはどうすればいいでしょうか?あるいは様々なことを学び、自分の考えや価値観を改めたいときは?

 誠実さは一貫性だと認識した時、最初に浮かんだ疑問がこれでした。

 そんな時に大切なのが「説明責任」だと思います。新たな方向転換をする時、話す内容が変わる時、その理由を説明し、理解して貰うことで信頼関係を損なわずにすみます。そんな時には忙しくても時間をつくって説明することが、相手に対する「誠実さ」なのです。

 

 ビジネス社会には、ある程度弱肉強食という側面があることは否めません。ただ、Win-Loseというどちらかが損をしているという状況では、長期にわたって良好な関係が築けません。常に裏がないかを探り合うといった関係も同様です。生涯現役という方もいらっしゃるように、社会人人生は長いのですから、短期だけではなく長期的な視野を大切に育て、組織を動かす頃には「長期と短期の両眼をバランスよく持った」リーダーに成長して欲しいと思います。

 

 本年の投稿はこれが最後になります。お付き合いいただき、ありがとうございました。読んでいただいた方に(異論であったとしても)某かの考えや気づきが生まれていれば幸いです。

 皆様、よいお年をお迎えください。