社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.23 感謝と誇りを考える ~安倍首相の硫黄島訪問~

 

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社長の並木です。4月19日に当社の中期経営計画発表会を開催しました。毎期首行っているイベントで、社員が一堂に会し、第一部で理念や昨年度の中経方針に基づいて一年間を振り返り、第二部では役員やマネージャーが全社、部門、チームのビジョン、方針、計画を語り、第三部が年間表彰。その後懇親会を行います。

第一部、第二部で話す役員・社員に頼もしさを感じ、年間表彰では感極まって涙する社員の努力に思いを馳せ、懇親会では賑やかに話しながら一体感を深める。このメンバー達と一緒に仕事ができていることに改めて感謝と誇りを感じる一日です。とても清々しい気持ちになりました。

 

  • 安倍首相の硫黄島訪問

さて、話は随分飛びます。また少し重たい話題になりますが、その5日前の14日。現在を生きる日本人として、感謝と誇りについて考える機会とすべき出来事があったので、ご紹介したいと思います。

 

安倍首相が硫黄島(いおうとう)を訪れ、硫黄島の戦いでの戦没者に「尊い命を賭して祖国のために戦った英霊に思いをいたし、この国の平和と繁栄をしっかり築いていかねばならない」と追悼を捧げ、「遺骨帰還事業を着実に進めていきたい。官邸がリーダーシップをとって各省庁をまとめていく」と語りました。

 

  • 硫黄島の戦い

硫黄島を知らない方も多いと思います。私も昭和38年と戦後生まれで、学校でも教えられませんでしたので、クリント・イーストウッド監督が「硫黄島からの手紙」という映画をつくっても、観ることもなく過ごしていました。その存在をはっきり認識したのは株式会社独立総合研究所所長の青山繁晴氏による講演会のインターネット動画と著書『ぼくらの祖国』(青山繁晴:扶桑社)です。

 

以下はその動画及び本から学んだことです。

硫黄島は当時アメリカ軍基地のあったマリアナ諸島と日本の丁度中間地点にある島です。戦時中、この島を中継拠点とすることで、より多くの爆撃が可能となるため、米軍が1945219日に侵略を開始、以降326日に終わる硫黄島の戦いがあった場所です。硫黄島の戦いは第二次世界大戦の中でももっとも知られた戦いの一つであり、指揮をとられた栗林忠道中将以下2万1千人の日本兵が戦い、およそ2万人が亡くなられたそうです。そして歴史上初めて日本の領土が占領されました。

今回、安倍首相も塹壕をご覧になられたようですが、中将は兵士に自決や万歳突撃を許さず、地下壕を堀り、そこに籠もっての苦しい戦い、苦しい死に方を選ばれました。その理由の部分が大事で、私はその心根に大きな感謝の念を持ちました。その部分を青山氏の『ぼくらの祖国』から抜粋させていただきます。

中将は二等兵のところまで一人ずつ回って、このような話をされたそうです。

「おまえたち、アメリカ軍がなぜ硫黄島を取ると思うか。

大本営は日本の港や工場を爆撃したいからと言っているけれども、アメリカは本当はもう日本の港や工場に関心は薄いぞ。

そうではなく、爆撃の目的はもはや本土で女と子供を殺すことだ。女と子供を殺す、すなわち民族を根絶やしにされると日本に恐れさせて降伏に導くのが、アメリカ軍が硫黄島を取る本当の理由である。

だから今から穴を掘ろう、穴を掘って立てこもって、やがて、みな死ぬ。

みな死に、故郷には帰れない、家族には会えない。

しかし穴を掘って立てこもったら一日戦いを引き延ばせるかもしれない、最後は負けても、一日引き延ばしたら爆撃が一日、遅れて一日分、本土で女と子供が生き延びる、二日延ばしたら二日分、本土で女と子供が生き残る。

だから穴を掘ろう。」(青山繁晴著『ぼくらの祖国』 扶桑社 197-198頁)

 

  • 過ちては則ち改むるに憚ること勿れ

戦争、そして敗戦と戦後統治に関しては、様々な意見・議論あるいは立場があることは知っています。私はそのことに意見する見識を持ててはいませんし、今回の趣旨はそこにはありません。また、当時のアメリカの戦略を批判するためにこの文章を書いているわけでもありません。

 

私がお伝えしたいのは、硫黄島で68年前に約2万人の方々が、およそ40日間戦いを引き延ばしていただいたお陰で今ある命、そしてその命から生まれた新しい命が必ずあるということ。「それは誰」と特定はできません。できないからこそ、逆に現在を生きる全ての日本人の恩人だと感じるのです。

そして、外国ならいざ知らず、東京都小笠原村の島であるにも関わらず、その亡くなられた方のうち、いまだに一万二千人の方の遺骨が収集・帰郷できていない。本来そのこと自体がおかしいけれども、それ以上に今回、遺骨帰還活動が本格化するということに安堵と感謝の気持ちを抱いたということです。

 

人は必ず母親から生まれます。その繰り返しによって今の日本があり、自分が存在し、子孫が生まれます。正しい歴史を知り、祖先に、そして恩人に感謝し、敬意を払うことは、自分自身の存在に誇りを持つためにも必要なことです。

知らなかった無知を恥じたり、知っていて放置していた先人を責めるより、今、知った歴史や事実を見据えて、過ちを改める方が余程大切です。それは個人も、国家あるいは政府も同様です。今回の安倍首相の言動が、政府と国民一人ひとりにとって、その契機になればと思います。