「雑観」コラム

(株)MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.75 通説を疑う ~農業と戦後~

今回は農業と戦後という二つの点について、幾つかの情報をご紹介しながら、考えていきたいと思います。 日本の農業は保護されすぎなのか? 一つ目は作家・経済評論家の三橋貴明氏のブログに掲載された一枚の表です。 <ブログ> 日本ほど農業を保護していな…

Vol.74 ギリシャ・中国・アメリカにおける世界経済の政治的トリレンマ+安保法制について

以前の投稿で、経済学者ダニ・ロドリック氏の唱える「世界経済の政治的トリレンマ」というものをご紹介しました。 Vol.29 世界経済の政治的トリレンマ ~グローバリズムと国内政治の対立~ - 社長の「雑観」コラム ・ハイパーグローバリゼーション ・国家主…

Vol.73 ギリシャ危機と緊縮病

7月5日ギリシャで、EUなどが求める緊縮策の是非を問う国民投票が行われ、反対61%、賛成37%という結果になりました。 今回は、ギリシャ危機について考えてみたいと思います。 国民投票の是非 まず最初に「国民(住民)投票」という手法そのものについて考え…

Vol.72 人口問題と財政問題

前回お伝えした2014年度GDP統計の2次速報が発表され、1次速報から若干上方修正されました。 実質GDP:▲1.0%(一次)→▲0.9%(二次) 名目GDP:+1.4%(一次)→+1.6%(二次) 消費税増税によって物価が強制的に上がった影響を勘案した実質GDPがマイナスなの…

Vol.71 あれから一年、、、消費増税の悪影響と財政問題

2014年度GDP成長率 2014年度のGDP統計が発表になりました。 実質では前年比▲1.0%、名目で同+1.4%です。4月に消費税増税が行われた結果、(強制的に物価が上がったため)名目では前年を上回りましたが、物価変動による影響を除いた実質GDPはマイナスに落…

Vol.70 正しいことを、正しい理由で、正しいタイミングで行なう ~書籍『1分間自己管理』より~

今回は少し趣を変えて、以前も紹介した当社のMS&Cスタンダード(※注)の中から、仕事に取り組む姿勢についてまとめたものの一つ『正しいことを、正しい理由で、正しいタイミングで行なう』をご紹介したいと思います。 若手ビジネスマンの方々や、現在就…

Vol.69 イデオロギーの力 2 ~ケインズやオルテガ、先達に学ぶ~

ケインズの語る「思想の力」 前回、イデオロギーの持つ影響力について考えましたが、それについてジョン・メイナード・ケインズが名言を残しています。 「経済学者や政治哲学者の思想は、それが正しい場合にも間違っている場合にも、一般に考えられているよ…

Vol.68 イデオロギーの力 ~保守政治家による「構造改革」~

東京では桜が咲き誇る中、新年度を迎えました。当社にも新入社員が入社し、先輩社員共々、気持ちを新たにする時期です。全国の新入社員の方々のこれからの活躍とご多幸を祈念致します。 財政緊縮イデオロギー:繰り返される反省 さて、前回の投稿で『経済政…

Vol.67 憲法改正と財政規律条項 ~『経済政策で人は死ぬか?』に学ぶ~

憲法改正に向けた動きが本格化しつつあるようです。年始の投稿で「日本人の手による憲法改正の機会が巡ってくるかもしれない」と書きましたが、思いのほか速い展開です。 憲法改正に関する安倍首相と自民党:船田元氏の発言 3月6日の衆院予算委員会では、…

Vol.66 仕事・会社に対する「誇り」と資本主義の未来

『資本主義の預言者たち ニュー・ノーマルの時代へ』 当ブログで度々紹介している評論家の中野剛志氏は、近著『資本主義の預言者たち ニュー・ノーマルの時代へ』(角川新書 ※2009年に出版された『恐慌の黙示録』(東洋経済新報社)の加筆・文庫版)で、ミン…

Vol.65 自称イスラム国による人質テロ事件と脱ダッカ事件

今回はISIL(自称イスラム国)のテロ事件およびそれに関わる報道のあり方について考えてみたいと思います。 今回、犠牲になられた方々およびご家族の皆様に、心から哀悼の意を表します。 呼称について 私はこれまでISISと書いてきましたが、政府・与党の決め…

Vol.64 グローバリズムvs民主主義

今年から2017年にかけて、世界各地でグローバリズム対民主主義のぶつかり合いが顕在化しそうです。特に経済不振の続くヨーロッパでその動きが顕著です。 再燃するギリシャ問題 ギリシャでは昨年末に行われた選挙で大統領を決めることができず、今月25日に総…

Vol.63 日本について ~敗戦をめぐるアメリカ化と憲法問題~

2015年最初の投稿になります。皆様、本年もよろしくお願い致します。 さて、年末の投稿で国家について考えてみようと書きました。年末年始の休暇中に読んだ本や観た番組を紹介しながら、「日本」に関連した二つの問題を提起してみたいと思います。皆さんはど…

Vol.62 2015年に向けて ~国家について考えてみよう~

今年最後の投稿です。一年間ありがとうございました。 当ブログも2年を超え、先日説明文を若干変更させて頂きました。政治や経済、社会、大切にしたい考え方などについて私なりの意見をお伝えすることで、(賛否はそれぞれの方にお任せしますが)一歩深く考…

Vol.61 投票に行こう ~無関心の弊害~

前回の投稿で、選挙に向けて「第一に政治家の人品骨柄をみる。自分でわからなければ信頼できる人に聞いてみる。第二に自分の争点を考えて、その分野だけでも候補者や政党の主張と実現可能性を確認する。また、その政策がどのような負の影響を与えるのかも知…

Vol.60 解散総選挙を考える

18日に安倍首相が記者会見を行い、21日の解散、12月の総選挙が決定しました。10日からの一週間余りで一気に解散に傾いた感があります。最終的なトリガーとなった7-9月期のGDP一次速報は、消費税増税の反動減を受けた4-6月期よりも悪い結果となり、衝撃…

Vol.59 デフレ脱却に向けて~消費税とグローバル化の弊害~

前回の投稿で、消費税再増税の可否判断は12月と書きましたが、前倒しの可能性が高まっています。11月17日に7-9月期のGDP一次速報値が発表になるのですが、それを受けて早々に延期(中止?)を判断し、解散総選挙を行うという説です。消費税増税法案は当時…

Vol.58 消費税再増税と財政均衡主義

消費税率10%への再引き上げ判断の時期は12月頃だと言われています。12月8日公表予定となっている7-9月期のGDP二次速報を受けて安倍首相が最終判断をされるのだと思いますが、様々な意見がメディアを賑わせています。今回は消費税再増税について考えてみ…

Vol.57 財政均衡主義の誤謬

前回書いたように、日本は財政出動によって景気浮揚を行う財政的な余裕があるにも関わらず、「財政均衡主義」に囚われてしまい、自ら首を絞めているということについて考えてみたいと思います。 財政均衡主義 財政均衡主義というのは、政府は無駄が多いから…

Vol.56 G20と日本機関車論

前回の投稿の後、スコットランド独立に関する投票が行われ、結果イギリスにとどまることにはなりましたが、世界各地の独立運動に影響を与えています。またアメリカは他国とも連携し、いわく付きの地シリア・イラクにおいてISIS(イスラム国)に対する空爆を…

Vol.55 保守のすすめ ~『フランス革命の省察』より~

前回、外国人労働者問題について、国体の面からみても彼らの人権の面からみても、試しにやってみて上手くいかなかったから元に戻しますというわけにはいかないのだから入口の段階でしっかりと議論をすべきだと書きました。 PPP/PFI(公共サービスの民営化)…

Vol.54 外国人労働者問題を考える

社長の並木です。 2014年4-6月期の四半期GDPが発表になりました。消費増税駆け込み需要の反動減が予想されていたとは言え、大変厳しい結果となりました。日本をデフレに陥らせた前回の消費税増税時(1997年4-6月期)と比べても、 名目GDP(対前期比・年率…

Vol.53 「グローバル資本主義」と「企業の本分」と「アベノミクス第三の矢」

社長の並木です。今回は、前回ご紹介した『グローバリズムが世界を滅ぼす』(エマニュエル・トッド、ハジュン・チャン、柴山桂太、中野剛志、藤井聡、堀茂樹:文春新書)から2~3の発言を紹介し、ドラッカーも引用しながら、経営や経済政策について考えて…

Vol.52 素直に喜べない法人税減税論

社長の並木です。去る6月24日、アベノミクスの経済政策の指針となる「骨太の方針」や「日本再興戦略改訂版」などが閣議決定されました。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140624/plc14062420180028-n1.htm 今日はその中から法人税減税について考えて…

Vol.51 G1後の世界と安全保障・集団的自衛権

社長の並木です。前回ご紹介したように、世界に対する米国の影響力が薄れ、G1と言われたアメリカ一極体制が変化しつつあります。このような時代の転換点にいることを踏まえて、安全保障について考えてみたいと思います。 G1体制の変化 米国の一極支配体制の…

Vol.50 拉致問題・領土問題と民主主義・国家主権を考える

社長の並木です。先日、独立総合研究所社長の青山繁晴氏がインサイトコラムというラジオ番組で心に刺さる発言をしていらっしゃいました。考えるキッカケにして頂ければ思いますので、今回はその内容を中心にご紹介します。 日本の主人公は日本国民 以下の出…

Vol.49 グローバリズムvs民主主義

社長の並木です。最近「グローバル人材」という言葉をよく目にするようになりました。この言葉を聞く度に、何故「グローバリスト」を言わないのか不思議に思うのですが、それはさておき、世界ではグローバリズムそのものに影響を及ぼすような出来事が起こっ…

Vol.48 続々 『国家のツジツマ』に学ぶ ~近代合理主義と二元論~

社長の並木です。前回お話ししたように、今回も『国家のツジツマ~新たな日本への筋立て~』(佐藤健志・中野剛志著 VNC新書)から、近代合理主義や二元論の危険性について学び、改めて考えてみたいと思います。 近代合理主義とフランス革命 「近代合理主義…

Vol.47 続『国家のツジツマ』に学ぶ ~世界観の大切さ~

社長の並木です。「Vol.41 イズム・二元論の危険性 ~グローバル化や脱原発などを例に~」などで、一つのイデオロギーに固執したり、単純な二元論に陥ることの危険性についてお話ししてきましたが、前回もご紹介した『国家のツジツマ ~新たな日本への筋立て…

Vol.46 賃金上昇と雇用関連の政策 ~国家のツジツマ~

社長の並木です。いよいよ消費税が増税されました。今回は久しぶりに政治・経済の話題です。 日本経済の分岐点 今、日本経済は ①アベノミクスの第一の矢(異次元の金融緩和)、第二の矢(機動的な財政出動)が奏功し、デフレを脱却する。 ②消費増税等によっ…