社長の「雑観」コラム

MS&Consulting社長、並木昭憲のブログです。 未来を担うビジネスマンや学生の方々に向けて、 政治・経済・社会・経営などをテーマに書き進めています。

Vol.103 真珠湾ビジターセンターと国家の独立

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当社には5年に一度、休暇と旅費の一部を補助する「永年勤続旅行」という制度があるのですが、先週、それを活用してハワイに旅行させてもらい、その際、(当ブログで度々ご紹介している)参議院議員青山繁晴氏が著書などでお勧めになっている真珠湾ビジターセンターの記念館を訪れてきました。

今回は、そこでの体験と独立の気風について考えてみたいと思います。

 

ワイキキビーチから路線バスで約1時間の真珠湾には幾つかの博物館・記念館があります。

一番の目的だった記念館は、入場料も無料な代わりに大きな案内がなく見つけにくかったですが、手荷物を預けて入場、チケットセンターに向かって左側にあります。

先日、安倍首相が真珠湾訪問の際に立ち寄られた展示館の一つです。

安倍総理大臣のハワイ訪問 | 外務省

 

入り口の看板がこちら。敵国として戦ったアメリカの国営施設なのですが、驚くほどフェアな記載があります。

 

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「A Gathering Storm

Conflict is brewing in Asia. The old world order is changing. Two new powers, the United States and Japan, are rising to take leading roles on the world stage. Both seek to further their own national interests. Both hope to avoid war. Both have embarked on courses of action that will collide at Pearl Harbor.」

「迫り来る嵐

古い世界秩序を変える対立がアジアで起ころうとしている。二つの新しい勢力、アメリカと日本が国際舞台で指導的役割を果たそうと台頭してきた。

両国とも更なる国益を追求し、共に戦争を避けようとしていたが、双方は真珠湾で衝突する道を歩んでしまった」

 

また、上記リンクで安倍首相がご覧になっているのは、日本の空母「赤城」です。

この模型の上には零戦などの戦闘機と共に、何十という乗組員やパイロットが細かに再現されており(並んで展示されている戦艦アリゾナは乗組員二名のみで対比が面白かったです)、

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説明文で、

「Akagi was one of Japan’s two largest aircraft carriers and the pride of the Japanese Navy. Many aspects of the ship’s design made it uniquely effective for air-based naval warfare-an entirely new approach to war.」

「赤城は日本の最も大きい二隻の空母のうちの一つであり、海軍の誇りであった。その優れた設計は、戦争への全く新しいアプローチ-航空機による海上戦闘という比類のない効果があった」

と絶賛しています。

 

その時は気づきませんでしたが、帰国後、アマゾンから届いていた青山氏と作家:百田尚樹氏の対談本『大直言』(新潮社)を読むと、そこにも「真珠湾見学のすすめ」という節があり、

『現地のアメリカ政府の真珠湾攻撃記念館で驚くのは、民間人の犠牲者の写真なんかも展示しているわけです。そうやって日本を憎ませるのかと思って説明を見ると「これは全部、友軍の誤射によるものだった」と書いてある。アメリカ軍が自分でアメリカ市民を殺したんであって、日本軍は民間人を攻撃することを一切しなかった、と説明してある。』(同書P103-104)

という展示もあったようです。

 

実は、真珠湾を訪れるのは今回で3回目なのですが、20代の頃は「真珠湾で卑怯な攻撃をやったから、広島・長崎に原爆を落とされた」(同書:P103)と学校で教わった通りに思っていましたので、何となく肩身が狭く、そそくさと見て回っただけ。2回目の時は、民間人を狙った原爆や東京大空襲と、歴とした軍事作戦である真珠湾攻撃は、国際法上も全くの別物という程度の知識はありましたが、今回のような展示には気づきませんでした。

私の英語力不足もありますが、先入観や刷り込みの恐ろしさですね。

 

それぞれの博物館・記念館によって歴史観も異なるようですが、この記念館だけであれば費用はワイキキからの往復のバス代$5だけです。

※他の施設は有料であったり、人数制限があったりしますので事前にお調べ下さい。

 

ハワイに旅行する機会があったら、立ち寄られてみては如何でしょう。

また、真珠湾攻撃については、青山繁晴氏の著書『青山繁晴の「逆転」ガイド ーその1 ハワイ真珠湾の巻』(ワニプラス)に詳しいですので、興味のある方は一読してみて下さい。

 

  •  一身独立して一国独立す

さて、今回の旅行に福澤諭吉氏の『学問のすすめ』(正確には、齋藤孝訳『現代語訳 学問のすすめ』ちくま新書)を持参し、改めて読み返しました。

若かりし日の私のように先入観、特に自虐史観に囚われていると、自国に誇りを持てず独立の気概が薄れてしまいます。

 

少々長い引用になりますが、同書によれば、

『国と国とは同等なのだけれども、国中の人民に独立の気概がないときには、一国が独立する権理を十分に展開することができない。そのわけは、以下の三点である。

第一条。独立の気概がない人間は、国を思う気持ちも浅い。

独立とは、自分の身を自分で支配して、他人に依存する心がないことを言う。自分自身で物事の正しい正しくないを判断して、間違いのない対応ができるものは、他人の知恵に頼らず独立していると言える。(中略)

人々にこの独立の気持ちがなく、ただ他人に頼ろうとだけしていると、全国民がみな、人に頼るばかりでそれを引き受ける人がいなくなってしまう』ので、(中略)『とても一国の独立など保てない。』

『第二条。国内で独立した立場を持っていない人間は、国外に向かって外国人に接するときも、独立の権理を主張することができない。

独立の気概がない者は、必ず人に頼ることになる。人に頼る者は、必ずその人を恐れることになる。人を恐れる者は、必ずその人間にへつらうようになる。』

『第三条。独立の気概がない者は、人の権威をかさに着て悪事をなすことがある。

(中略)

国民に独立の気概が少なければ、それにしたがって(並木意訳:外国人の権威や金銭を借りた悪だくみによって)、国が売られる危険もますます大きくなるだろう。』

(同書P37~P44より抜粋、( )部意訳)

とのこと。

 

ご存じのように福澤諭吉氏は開国を説きましたが、同時に『「天理人道(天が定めた自由平等の原理)」にしたがって交わり、(中略)道理のためにはイギリスやアメリカの軍艦を恐れることもない』という考えです。(同書P14~15)

 

  • 現在の道理を考える

現在、米国の一極支配が弱まり、新しい世界秩序を模索する中で、溢れんばかりの問題が生まれています。歴史の転換点を生きる今こそ、改めて問われる姿勢ではないでしょうか。

 

幾つか例を挙げて考えてみましょう。

 

トランプ大統領は、日米の自動車貿易について「公正ではない」という発言を続けています。日本の自動車関税がゼロであること、米国で販売している日本車の多くが現地生産であり、多くのアメリカ人の雇用を生み出していることはさすがにご存じだと思いますが、政治がいくら動いても、米国の自動車メーカーが日本人の需要に合わせて、右ハンドルにするとか、小型で燃費のよい車をつくるとか、サービス網や販売網を充実させるといった企業努力を行わない限り、米国車の輸出は増えないという道理を主張すればよいと思います。

 

一方、来日したマティス米国防長官は在日米軍の駐留経費負担について、他国が見習うべき「お手本」とおっしゃいました。70~75%程度の負担をしているようですから、この見識は道理にかなっています。

また、尖閣諸島への安保適用を明言され、中国に対する抑止力が高まったことは歓迎すべきですが、同時に日本政府は、米軍に頼るだけでなく、日本がまず防衛するつもりがなければ始まらないことを国民に訴えると共に、尖閣周辺の領海侵犯の現実を知らせ、考える機会をつくるべきです。

 

いみじくも、中国による「アパホテル問題」や、韓国との「駐韓大使一時帰国」などで、歴史認識の問題が再燃しています。

アパホテルニュースリリースにあるように、私も『国によって歴史認識や歴史教育が異なることは認識していますが』、

客室設置の書籍について | 【公式】アパグループ

南京大虐殺では、当時人口20万人の南京市で、30万人を虐殺し、一ヶ月後には人口が25万人に増えたという事があり得るのか、

いわゆる“慰安婦問題”では、女衒(ぜげん)にではなく、軍による強制連行(日韓合意の際に岸田外務大臣が曖昧に表現し、国会で安倍首相が「衛生管理を指す」と答弁した、「軍の関与」ではありません)があったのか否か、

といった歴史的事実について、学校で教わったことを離れて、学び直すべきではないでしょうか。

 

新しい時代を築いていかなくてはならない我々にとって、

・自分の生まれた国を愛すること、そのために過剰な自虐史観から脱すること。

・道理を持った毅然とした外交と、説明責任を果たす内政を行うこと。

が日本の国益のため、さらには新たな世界秩序を少しでも好ましいものにしていくために必要だと思います。